【認知症】アルツハイマー型認知症の症状~大切な記憶~

ご家族
この前の記事で『三大認知症』のことが書かれていましたが、
アルツハイマー型認知症について詳しく知りたいです。
生活相談員
アルツハイマー型認知症を理解するキーワード『記憶』です。
記憶が失われていくことから起こる症状がどのようなもので、
どう考えて関わっていくことが大切かをこれから見ていきましょう。

【認知症】アルツハイマー型認知症の症状~大切な記憶~:はじめに

認知症を引き起こすおもな病気

▶【三大認知症】認知症の原因となる病気トップ3

でもお伝えしていますが、
認知症の原因となる病気の8割が

① アルツハイマー病による『アルツハイマー型認知症』
② 脳にレビー小体というたんぱく質のかたまりが原因となる『レビー小体型認知症』
③ 脳梗塞や脳出血などで脳の血管の詰まりや出血により、脳細胞が死滅することから起こる『脳血管性認知症』

になります。

今回はその中でも一番割合の大きい
アルツハイマー型認知症について詳しく見ていきたいと思います。

【認知症】アルツハイマー型認知症の症状~大切な記憶~

認知症で一番多いのが『アルツハイマー型認知症』です。

諸説ありますが、異常なたんぱく質(ベータアミロイド、タウタンパク)が脳に溜まり脳を圧迫することで、脳が萎縮(小さくなる)して脳の働きが低下していくと考えられています。

『海馬』という記憶に関わる部分から萎縮が始まり、脳全体へ萎縮する範囲がゆっくりと広がっていきます。

例外もありますが、ここでは萎縮の一般的な広がり方から、その部分の働き、萎縮による症状を確認していきます。

まず、アルツハイマー型認知症の主な症状として

【初期の症状】
● 新しいことを覚えておけなくなる(記憶障害)
● 同じことを繰り返し話す(記憶障害)
● 物を盗られたと話たり、作り話をする(記憶障害)
● 日時がわからなくなる(見当識障害)
● 計画を立てて効率よく一連の行動ができなくなる(実行機能障害)
● やる気が起きなくなる
【中期の症状】
● 数年から数十年の長期間の記憶を忘れてしまう(記憶障害)
● 今いる場所がわからなくなり、迷子になる(見当識障害)
● 目の前の人が誰かわからない(見当識障害)
● 話がかみ合わなくなる、「あれ」「それ」といった指示語が多くなる(失語)
● 服の脱ぎ着など、簡単な行為ができなくなる(失行)
● 見たもの、触ったもの、聞いたものが何かわからなくなる(失認)

初期から中期にはこのような症状が主に確認できます。
今回の内容はまず、初期の症状についてお伝えします。

それでは、脳の萎縮がどのように進むのかを見ていきましょう。

新しいことを覚えておけなくなる(記憶障害)

脳(海馬)
参考:Relational Dynamics, Happiness and the Amygdala
https://sycofx.wordpress.com/2011/08/16/happiness-and-the-amygdala/ を基に作成

まず『海馬』という「記憶(覚える)」働きの部分から萎縮が始まります。

今、入ってきた情報が覚えられなくなります。

この「覚えられなくなる」というのは、

本人
昨日のお昼はなに食べたかな???
ご家族
昨日はパスタを食べに行ったでしょ?
本人
ああ、そうだったそうだった(笑)

といった、物忘れとは違い完全に記憶から消えてしまうんです。

なので、

ご家族
昨日はパスタを食べに行ったでしょ?
本人
・・・そうだったかな~。。。

となって、記憶が蘇ることがないのが特徴です。

イメージとしてはこんな感じです。

認知症の方の記憶

これは記憶を一つの帯で表現しています。

上の帯(一般的な記憶)

ところどころで物忘れはありますが、過去に記憶をたどることが可能です。

また、忘れていたことも、周りの人から聞いたり、前後の記憶のつながりから思い出すことができます。

下の帯(認知症の方の記憶)

一般的な記憶の物忘れとは違い、その部分が完全に消失してしまうため、記憶がたどることができないのが特徴です。

そのため、「昨日のお昼に何を食べたか」ではなく、「昨日、昼食を食べた」ということ全てが消えてしまうので、
「昨日からごはんを食べさせてもらえない」ということになってしまいます。

同じことを繰り返し話されるのも、今話をしていても、しばらくすると『話をしたこと』じたい記憶からなくなるので、同じ話が繰り返されることになります。

そういった症状が現れている時に周りの人がどうその方に向き合うかで、今後の状況に影響します。

なに言ってるんですか!?
昨日もごはんを食べたし、今日もちゃんと食べてます!

とか

また同じ話ですか!?
何度も何度も同じ話を言わないでください!

などの否定をしてしまうとどうでしょう?
自分のこととして考えてみましょう。

本人は記憶が全く消えているので、真面目に話をしています。

それを否定された場合、

本人
なにを言ってるんや!
ほんまにごはん食べてないわ!!

怒りの気持ちが生まれたり、

本人
え。。。初めて話したのに、、、もう何も言えない。。。

ショックを受けて、落ち込むことが多くなることが考えられます。

同じことを繰り返し話す(記憶障害)

実際に身近にあった話

Aさんが友だちBさんCさんと次の土曜日、10時に駅で待ち合わせをして買い物とランチの約束をしました。

次の日、AさんBさんに電話をし
Aさん「なにか大事なことをこの前話していたような。。。」
Bさん「この前は次の土曜日に買い物とランチに行こうって話していたけど」
Aさん「ああ、それのことだわ。よかった~」

次の日、またAさんBさんに電話をし
Aさん「なにか大事なことをこの前話していたような。。。」
Bさん「昨日の電話で話たこと?次の土曜日に買い物とランチに行く話?」
Aさん「ああ、そのこと、そのこと。よかった~」

次の日、
Aさん「なにか大事なことをこの前話していたような。。。」
Bさん「次の土曜日に買い物とランチに行く話をしてましたよ」一昨日も昨日も今日も。。。
Aさん「ああ、それのことだわ。よかった~」

次の日、Aさんの電話にBさんは出ませんでした。
AさんCさんを訪れます。
Aさん「この前、なにか大事なことを話していたと思うの。なんだったかな~」
Cさん「この前は次の土曜日に買い物とランチに行こうって話していたけど」
Aさん「ああ、それのことだわ。よかった~」
Cさん「次の土曜日のこと、メモに書いているから渡しておくわね。これを家に帰ってから電話のところに置いておいて~」
Aさん「ありがとう。助かるわ~」

Bさんから
「もうAさんたら、毎日毎日同じことを聞いてくるの。もしかしたらCさんの方にも連絡がくるかも」
と話を聴いていたCさん事前にメモを用意していました。

その後、Aさんからの連絡はなく、当日10時に駅で3人が集まりました。

認知症の症状が現れ始めたAさん。

Aさん
なにか大事なことをこの前話していたな~

という感じは残っているものの、その時の記憶が無くなっているので、それの記憶を埋めようと頑張ります。

1度聴いても、2度聴いても、3度聴いても認知症のため、その『聴いたこと』を忘れてしまいます。

でも、「大切なこと」というモヤモヤした気持ちがあるので、何度もその失った記憶を埋めようと努力し、同じ話を繰り返してしまいます。

この同じ話に対してBさんCさんも「あー、もううんざり」と距離をおいたらAさんどうなるでしょう。

余韻を残して次に移ります。

物を盗られたと話たり、作り話をする(記憶障害)

物を盗られたと話たり、作り話をすることも、この『記憶』が大きく関わっています。

認知症の初期はまだ周りの状況からいろいろな判断が可能です。

その過程で、最近のことを忘れることによって、生活をする上でいろいろな不都合を実感します。

● 物忘れが増えた気がする
● 同じ話をすると周りから言われる
● 家の中で物がなくなる
● 友達との約束を忘れることがある

など、いろいろな経験から

本人
最近、なんか変だな。。。
物忘れが増えてきたな。。。
など、違和感から『不安』『焦り』を感じ始めます。
そして『不安』『焦り』を感じると人はそれを避けようとします。
「自分がおかしくなった」
と誰しも思いたくないので、不都合の理由自分以外のモノに置き換えたり、取り繕って話を合わせようとします。
ご家族
お母さん、13時に駅前でって約束していたのになんで来てないの?
本人
約束?。。。
ああ、ちょっと用事を思い出してね。。。
娘さんとの約束した記憶を思い出すことができず、約束を忘れたことを認めたくない気持ちからとっさにそれらしい理由をつけて答えることや
本人
あれ?
財布の中にあるはずのお金が減ってる!?
本人
ちょっと、良夫(息子)!
あまり大きな声では言いたくないのだけれど、良子さん(嫁)がどうも、私の財布からお金を盗っているの。。。
自分がお金を使った記憶は無くなっているので、お金が減っているのは『誰か』のせいとして無くなった記憶のつじつまを合わせようとします。
そして、その『誰か』は悲しいことに一番身近で関わりの多い人になることが多いです。

日時がわからなくなる(見当識障害)

日時がわからなくなることは『見当識障害』と表現されますが、これも記憶を思い出すことができないことが原因になります。
時計を見ずに、今目をつむって、今の時間が何時か頭の中で考えてみてください。
頭の中に出てきた時間
その時間は、頭の中でどう考えて出てきましたか?
皆さんが時計やカレンダーを確認せずに、今の時間日にち曜日を答えるためには、記憶が大きく関わってきます。
さっき、10時だったから今はだいたい11時頃。
もうそろそろお昼ごはんの支度をしないと!
昨日、サザエさんを見ていたから日曜日。
だから今日は月曜日だね。
今の時間や日付、曜日といった状況を考える場合これまでの記憶を遡って判断することになるので、記憶が曖昧になってくると、その判断も曖昧になり、今が何時、また何日で何曜日ということがわからなくなってきます。
認知症が進行していくと、季節や年の感覚も薄れていきます。
「じゃー、私も認知症!?」
と思う方がいるかもしれませんが、ご安心を
日にちや曜日の間違いなど誰しも起こりうることなので、必ずしも全てが認知症ということではありません

計画を立てて効率よく一連の行動ができなくなる(実行機能障害)

計画を立てて行動すること記憶が関係しています。
今日の夕食は肉じゃがにしよう!
と夕食の食材を買いにスーパーへ行く時、
家にじゃがいもと玉ねぎ、糸こんにゃくは一袋あるから、
その他の豚肉、人参を買おう。
と考えて買い物をします。
しかし、じゃがいもと玉ねぎ、糸こんにゃくの存在を忘れているので、じゃがいもと玉ねぎ、糸こんにゃくも買ってしまいます
買ってきたものをしまい、夕食を作り始める時には買ってきた物を忘れて、目に入った食材(豚肉、人参、じゃがいも、玉ねぎ)で肉じゃがを作ってしまいます。
別の日、
糸こんにゃくがあるから肉じゃがに入れよう!
と考え、スーパーで糸こんにゃくも買ってきます。
結果、冷蔵庫に糸こんにゃくがあふれてしまいます。

やる気が起きなくなる

アルツハイマー型認知症初期の症状として
● 新しいことを覚えておけなくなる(記憶障害)
● 同じことを繰り返し話す(記憶障害)
● 物を盗られたと話たり、作り話をする(記憶障害)
● 日時がわからなくなる(見当識障害)
● 計画を立てて効率よく一連の行動ができなくなる(実行機能障害)
についてお伝えしました。
今まで特に不自由なく過ごしていたものが、徐々に身の回りにおかしなことが起こってきます。
全く身に覚えのない約束を「忘れてる」と言われたり、
「同じことを何度も言う」と言われたり、
お金が無くなったり、
時間や日にちの勘違いが増えたり、
同じ物があふれてきたり。
身の回りで起こる不可解なことに対し、『不安』『焦り』『恐怖』を感じ、中にはそれを認めることが出来ずに、身近な人へ当たったりすることもあります。
同時に『自信』も無くしていき、自分の中でも自分のことがよくわからなくなってきている中、周りの人から否定されると、さらに自信を無くし、全てのことに対して意欲が起きなくなってしまいます。
人と話す、接することで、自分の失敗怖くなりふさぎ込むようになってきます。
周りにいる人はどうしたら良いでしょうか。

【認知症】アルツハイマー型認知症の症状~大切な記憶~:まとめ

記憶
今回はアルツハイマー型認知症初期の症状として、脳の海馬の萎縮から起こる『記憶障害』に関することをお伝えしました。
アルツハイマー型認知症大切な記憶を失ってしまうことから始まります。
早い段階で治療を開始すれば、その進行を遅らせることは可能ですが、残念ながら進行を止めることや、完治させることは難しい病気なので、受け入れていく必要があります。
ここで強く伝えたいことは、病気からくる記憶障害の影響で、今回お伝えしたような症状は現れます。
しかし、その時の周りの人の関わり方で、その方のその後の状態が変化するということです。
現れた症状に対し、本人を否定するような言葉や態度で周りの人が接すると、当然、『不安』や『焦り』『恐怖』を助長し、興奮や暴言、暴力へと発展したり、逆に自信をなくしてしまいうつ状態へ陥ることになります。
この『不安』や『焦り』『恐怖』の感情『安心』へと変えることができれば、穏やかな生活を送ることができます。
そのためには認知症について正しい理解をし、脳の萎縮に伴って現れる症状を知り、その症状に対してどういう関わり方をすると本人は安心できるのかを考えることが大切です。
そして、認知症の方を中心周りで関わる人全てが一緒に考えることが大切です。
主に介護をする人が抱え込むことはできません。
家族みんなで、また、地域包括支援センター居宅介護支援事業所、その他デイサービスやショートステイ、ヘルパーステーションなどのサービス事業所の力も利用しながら介護者の負担も軽減しながら関わっていくことが大切です。
長くなりましたが、今回の内容がそのヒントになれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回は、アルツハイマー型認知症の進行過程で、海馬の萎縮後はどの部分が萎縮し、どのような症状になるのかをお伝えしていきます。

 

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