【認知症】原因と症状の理解が幸せへのヒントになる!

ご家族
認知症の母と一緒に暮らしているのですが、
夜中、急に起きて家の中をうろうろ歩き回ったり、
前を指さして居もしない人のことを話だしたり、
いきなり不機嫌になったり。
母の行動が全く理解できません。
という相談を受けることがあります。
認知症のお母さんがとる行動の理解
どうすれば理解することができるのでしょうか。
今回は、認知症を理解するヒントとして、認知症の原因と症状についてお伝えしていきます。

【認知症】原因と症状:はじめに

『認知症』脳の働きが低下して起こります。
2025年には約730万人(65歳以上の高齢者の約5人に1人)、2060年では約1,154万人(65歳以上の高齢者の約3人に1人)を超える予想がされています。
また、特有の症状はありますが、脳の損傷部分にもよって症状が変化するため、その変化する状況に合わせて関わっていくことが求められます。
今後、認知症になる方が増えていくことによって、私たちの日常生活でも関わる機会が増えるため、地域住民が寄り添い支えていく必要があります。そのためには私たち一人ひとりが『認知症』について関心を持ち、理解していくことが求められます。
『認知症』を理解するためには、その原因を知ることと、原因によってどのような症状になるのかを知る必要がありますので、今回は認知症の原因と症状についてお伝えしていきます。
『認知症』は「治らないもの」と考えがちですが、認知症の原因となる疾患の中には「治るものもある」ので、できるだけ早い段階でその原因を確認することが大切です。

【認知症】原因と症状

神経の伝達

認知症の原因:脳の働きが低下

脳の細胞が萎縮、死ぬ、または、働きが悪くなることにより、その脳の細胞が持つ働きを行うことができなくなることが原因となります。その結果、働きが低下する脳の場所によっていろいろな障害が生じます。
記憶を保存する細胞が働くなったことで最近の出来事が覚えられなくなる『記憶障害』が生じ、また、空間を認識する細胞が働かなくなることで道に迷ったり、夜中自宅のトイレの場所がわからなくなったりする『見当識障害』が生じます。
『記憶障害』や『見当識障害』といった言葉の話はまた別の機会に考えていますので、今は流しておいてください。

脳の働きを低下させる主な病気

● アルツハイマー型認知症
● レビー小体型認知症
● 脳血管性認知症
● 前頭側頭型認知症
● 脳腫瘍
● 慢性硬膜下血腫
● 甲状腺機能低下症
● 正常圧水頭症
『脳腫瘍』『慢性硬膜下血腫』『甲状腺機能低下症』『正常圧水頭症』早期発見、早期治療により改善が可能なものです。

認知症の症状:機能しなくなった脳の働き

大脳の働き
認知症の症状働かなくなった脳の部分によって違ってきます。
難しい言葉は覚えなくて大丈夫です。
脳の
『前』なのか
『上』なのか
『横』なのか
『後ろ』なのか
『内』なのか
で考えると理解しやすいですので、そんな感じでイメージしましょう。
医学的に細かい話はできませんが、介護をする上で大まかな場所とその働きを知ることで、認知症を理解するヒントになると思います。

脳の『前』(前頭葉)

脳の『前』側は『思考』『自発性(やる気)』『感情』『性格』『理性』『体を動かす命令』などの働きがあります。
この部分が機能しなくなると、『思考』=『考えること』が難しくなり、これから行う行動が『良い』行動なのか、『良くない』行動なのかの判断ができなくなることがあります。
また、『やる気』に影響を与える場所なので、思考が停止し、ぼーっとする時間が増えることもあります。
認知症に限らず、私たちの生活においても、同じ作業を繰り返ししていると集中力が低下し、別のことに気がいってしまうことはありませんか?
これも同じことで、脳の前側が疲れていることが考えられるので、少し(15分程)別のことをしたり、眼を閉じてリフレッシュさせてから、「よし!やるぞ!!」と気合を入れ直すと集中力が戻ってきますよ。
『感情・性格・理性』のコントロールにも影響を与える場所なので、
『怒りっぽくなった』
『几帳面な性格だったのに家が散らかりだした』
などの変化が見られることもあります。
さらに、『体を動かす命令』を出す場所になるため、損傷によって体に麻痺が生じることがあり、手や足の麻痺や、口腔(口や舌、喉など)を動かすことができなくなると言葉を理解していても『話す』ことができなくなるといったことが生じます。

脳の『上』(頭頂葉)

脳の『上』側は体全体の感覚情報が集まる部分です。
脳の上の方から足⇒手⇒顔の順に働きが決まっています。
この部分で触れた物の情報を処理してその形、大きさ、柔らかさなどを認識します。
カバンの中に手を入れて、中身を見ずに携帯電話を取り出すことができるのも、指先の感覚から得られた情報を処理して携帯電話と認識できるからです。
また、空間物と物の距離や間隔左右や上下道や風景など)を認識する働きをします。
この部分の働きが低下したために、散歩に出られて道に迷い、家に帰ることができなくなるといったことが起こります。
その他、『半側空間無視』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
空間を認識するこの脳の『上』側が働かなくなることで、視力が正常でも空間の半分、特に左側が全く見えていないことがあります。
食事をしていて、左側の料理に手を付けないことや、食後、口の左側を拭き忘れる、車椅子での生活だと、左側のブレーキをかけ忘れたり、左側のフットサポートを上げずに立ち上がる左側にある障害物にぶつかるなどの例が挙げられます。
特に左側の半側空間無視が多い理由として、この半側空間無視は脳の右半球を損傷した時に起こりやすいためです。
脳から体へ伝わる神経がクロスしているため、体の機能反対側の脳がコントロールしていることから、右脳の損傷により左側半分の空間が無視されます。
今回の説明では便宜上、右利き、左利きには触れずにいます。

脳の『横』(側頭葉)

脳の『横』側は耳がある場所なので、耳から入ってくる『音』を理解することが難しくなるのが特徴です。
そのため、耳から入ってくる『音』を『言葉』として理解ができないといったことが起こります。
知らない外国語を話しかけられているような状況を考えてもらえるとイメージし易いでしょう。
ラジオとかで話される言葉は異国の音楽のように聞こえるかもしれません。

脳の『後ろ』(後頭葉)

脳の『後ろ』側は眼で見たモノを理解する場所で、人の顔や物の形、色などの情報を処理します。
目の前の人が誰かわからない、色を答えられないなどの症状、逆に見えていないモノが見えているように行動されることもあります。

脳の『内』(海馬、扁桃体)

海馬と扁桃体参考:Relational Dynamics, Happiness and the Amygdala
(https://sycofx.wordpress.com/2011/08/16/happiness-and-the-amygdala/)内の画像を基に作成
脳の『内』側には記憶を一時的に保存する『海馬(かいば)』、喜びや悲しみなど喜怒哀楽の感情を処理する『扁桃体(へんとうたい)』と呼ばれる場所があります。
『海馬』では『今~最近』の一旦覚えた記憶(短期記憶)を一時的に保存し、その記憶を残しておくかどうかを判断します。
「残しておく」と判断した記憶は、主に隣にある『横』側(側頭葉)へ保存(長期記憶)されます。
記憶の保存処理が済むと海馬内の記憶はリセットされ忘れます。
感情と関わる記憶は残りやすく、残念ながら嫌な記憶ほど残るんです。
皆さんも、
「確かに、嫌なことされた思い出はずっと残ってるわ」
と思いませんか?
『扁桃体』では海馬に入ってきた記憶を『快』と『不快』に判断します。
この判断は生命の危険から自分を守る働きをするため、特に『恐怖』や『不安』『緊張』といったものに敏感です。
目の前にナイフを持った大柄な男が自分めがけて走ってきたらどうしますか?
おそらく、すぐにその男に対して恐怖を感じ、逃げようとするのはこの働きです。

脳の『全体』

認知症の症状を理解するためには部分部分の脳の働きを知ることから始まります。
ただ、脳はそれぞれの部分が独立しているわけではなく、それぞれの働きが繋がっていることも知ることが必要です。
上の脳の絵も参考にしながら
脳の『前』(前頭葉)と扁桃体とのつながりとして、扁桃体で生まれた喜怒哀楽の感情は隣の『前』側でコントロールされます。
脳の『横』(側頭葉)と海馬のつながりとして、海馬へ一時的に保存された記憶(短期記憶)から残される記憶は主に隣の『横』側へ保存され長い期間記憶(長期記憶)として残ります。
脳の『後ろ』(後頭葉)と脳の『上』(頭頂葉)とのつながりとして、『後ろ』で見たイメージを処理し、その情報が『上』へ伝わり、見たモノの形や風景などを空間として認識します。
このように、それぞれの働きがつながり合い、見たモノ、聞いたモノ、触ったモノ、感じたモノの情報を処理し、認識する仕組みになっています。

『海馬』に関する余談

海馬とタツノオトシゴ参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』海馬(脳)より
記憶を一時的に保存する脳の『海馬』
この言葉の由来は形が『タツノオトシゴ(海馬)』に似てるからだそうです。
確かに並べて見ると似てますね。

【認知症】原因と症状:まとめ

幸せの光
認知症を理解するヒントとして、認知症の原因と症状について紹介しました。
脳の働きを低下させる主な病気が脳のどの部分の働きに影響を与えているかを知ることで、認知症の方が取る『行動の意味』を理解することができます。
行動の意味を理解することで、これまでの関わり方が変わり、これまでの生活がお互いに穏やかで安心した幸せな暮らしへ変わるきっかけになります。
この機会に是非、今回の内容を参考にしていただきながら、認知症についてもう少し踏み込んだ勉強をしてみてください。
勉強には目標があると頑張れるので、『認知症ケアのプロ』として『認知症ケア専門士』の資格取得を目指してみるのも、介護をされている方にはステップアップとなると思います。
民間資格にはなりますが、国家資格で同様のものがないので、興味があれば是非頑張ってください。
今はeラーニングでパソコンやスマホで受験対策の勉強もできるので便利ですね。

【認知症】原因と症状を理解したケアを受けられる老人ホーム

落ち着いた家
これまで自宅で過ごされていても、ある時から施設を探す必要が生じることもあります。
これまでたくさん苦労を重ねてきたご家族にとって、認知症ケアの大変さを十分過ぎるほど知っています。
ご家族
「認知症の人が幸せに暮らすことができる施設なんてあるのだろうか」
「どうしたら納得できる施設を探すことができるのだろうか」
と悩まれる方もこれまで数多くいらっしゃいました。
そこで、認知症の方にとって最適な施設を見つけるポイントを簡単に紹介します。

ポイント①:希望するエリアにどれだけ老人ホームがあるのかを知る

まずは、希望するエリアにある老人ホームの情報を集めましょう。
一番効率的に集める方法は、『老人ホーム検索専用サイト』を利用し、そのエリアにある老人ホームの資料をまとめて請求することです。
「LIFULL介護」が情報量が多い、探し易い、資料請求がし易い(一括で資料請求ができる)ので、
「LIFULL介護」を使うと良いでしょう。
希望するエリアにある施設の資料はとりあえず請求しておくと、いろいろと後で比較検討に使えます

ポイント②:施設見学で質問する

取り寄せた資料を見て、複数の施設に絞り込まれたら施設見学をしましょう。
実際に現場を見ることは必須です。
時間は使いますが、納得して選ぶためには欠かせません。

施設見学で必要なこと

【可能な限りご本人と行き、その時のご本人の様子を確認する】
認知症の方にとって、周りの環境を認識することが難しくなっている状況でも『雰囲気』として感じることはできます。初めて行く場所での『雰囲気』を感じ、落ち着いているのか、そわそわ落ち着かないのかは一つの目安になります。
【認知症ケアがどの程度行われているのか確認する】
初めての方に対する職員の対応(笑顔で挨拶をする)を確認するとともに、いくつか質問もしてみましょう。
「家に帰りたいと何度も何度も言う入居者に、職員の方はどのような声をかけられていますか?」
「1時間の間に何度もナースコールを鳴らし、トイレへ行きたいと伝えられる方にはどのような対応をされていますか?」
などを質問してみて、その答えに納得できるかどうかは大切なポイントです。
その他、実際に自宅での生活場面で困っていることを例に出し、それがその施設ではどのように対応されるか訊いてみるのも良いですね。
施設の対応も知ることができ、さらに、困っていることが解決するかもしれません。
【入居されている方の様子を確認する】
そこで暮らされている入居者の服や車いすが汚れていないか髪の感じや髭の感じに違和感がないか
直観として『落ち着いた雰囲気』かどうか。
この2つのポイントは是非、押さえておきましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。